2001 年6月
世代を問わず誰でも自然環境を体験学習できる「自然学校」マウイ
In Maui's Natural Classroom,
Travelers of All Ages are Learning About Ecology
マウイを訪れる家族連れには、ぜひともお伝えしておきたいことがあります。地理的に見て、マウイ島は地球の神秘に包まれた大自然の宝庫です。海岸線に点在する国立公園や巨大な休火山、自然のままの森林や峡谷、さらには地球上でこの地にしか存在しない動植物など。マウイの自然保護活動が功を奏し、ウォーキングシューズに履き替えて大自然に飛び込み、驚きに満ちあふれる熱帯の原生林を体験する観光客が年を追うごとに増えているのです。
実際、魔法の島、マウイ島を訪れる目的として、自然探検ツアーがあがるほどなのです。マウイは、さまざまな意味で、本物の自然を学ぶことができる実地教育の場にほかなりません。もちろん、汗をかきながら学ぶ体力勝負の方法から、椅子に座ってゆったりと学ぶ手軽な方法までさまざま。それぞれの家族の好みや体力に合わせて、好きな形で自然に親しめばいいのです。
たとえば、ハレアカラ国立公園。敷地内の大部分は、いわゆる熱帯の楽園とは思えないような不思議な光景が広がっています。その中心をなすのが、天にも届きそうなハレアカラ火口です。猛烈な風が吹きすさび、荒涼とした大地が横たわる過酷な世界。しかし、海抜0メートルの麓から3000メートルを超える山頂までクルマを走らせると、山頂近くの公園管理事務所や標識、避難所ではさまざまな情報が入手できます。こうしたドライブも、地球上で他に類を見ない生態系や自然環境を学ぶ絶好の「教材」になるのです。この火口巡りの所要時間としては、すべてクルマだけで慌ただしく見学するのでなければ、少なくとも半日はみたほうがいいでしょう。
ここでは、さまざまな自然とのふれあいが期待できます。たとえば、銀剣草の名で知られる植物は、火山火口の不毛の火山灰でも生い茂ることができるよう環境適応を果たした驚異の植物ですが、絶滅危惧種の1つとされています。
5年から20年かかって成長すると、銀色の毛に覆われた芽が宝石のように輝き出します。やがて紫色の見事な花を咲かせますが、花が枯れると乾燥して消えていきます。銀剣草は、この公園内だけでしか見られません。このことからも、いかに独特の場所かおわかりいただけるはずです。
簡単な計画を立てておくだけで、国立公園巡りによる体験学習の価値が高まります。たとえば、山頂では毎朝、南北4キロメートル、東西12キロメートルにも及ぶ巨大な火口を見下ろしながら、レンジャー(警備隊)の隊員から大自然の驚異について説明を聞くことができます。平日はほぼ毎日のように、レンジャーを先頭に全長3〜5キロメートルほどの原生林ハイキングが実施されています。コースはさまざまですが、火口を降りていくコースや、管理事務所のすぐ手前にあるホズマーグローブの雨林に足を踏み入れるコースなどがあります。
5歳から12歳までの子供には、公園主催のジュニア・レンジャー・プログラムが用意されています。参加者は、この地域ならではの脆弱な生態系に関する解説、ハワイ語の単語やフレーズをまとめた無料の小冊子を管理事務所で手に入れることができます。プログラム終了後には、ジュニア・レンジャーとして認定され、証としてバッジが贈呈されます。
体力に自信のある家族なら、もっとチャレンジしてみましょう。丸1日をかけて、深さ600メートルを超える火口の内部にまで入っていくハイキングはいかがでしょうか。お望みなら、火口内部にある山小屋やキャンプ場で1泊することも可能です。もう1つ、自然の奥深さを知るのにおすすめなのが、マウンテンバイクで斜面を一気に駆け下りる民間業者主催のダウンヒル・ツアーです。山頂を出発し、さまざまな表情を見せる景色を堪能しながら、最後にヤシの木が待つ砂浜に到着します。
マウイの大自然にふれられる場所は、ハレアカラ国立公園だけではありません。青々と茂った原生林や心地よいそよ風に包まれて滝や池で水遊びなど、半日または1日を使って水に親しむプランはいかがでしょうか。おすすめは、西マウイの山岳地帯にあるイアオ渓谷です。その美しさは、作家マーク・トウェインをして「太平洋のヨセミテ」と言わしめたほど。想像を絶する急斜面、標高365メートルの尖峰、イアオ・ニードルをはじめとする不思議な地形がそれを物語っています。イアオ渓谷は、誰でも気軽に訪れることができるとあって、ピクニックに最適です。
イアオ渓谷州立公園の入り口近くにあるハワイ・ネイチャー・センターでは、特に子供向けの体験学習の場を提供しています。たとえば、ガイド付きハイキングやインタラクティブ・サイエンス・アーケードのツアーがあります。後者は、マウイ島の動植物について学べるゲームや展示を中心とするハイテク博物館です。
西マウイの風下には、カアナパリやカパルアといったリゾートがあり、「自然の旅」を満喫したい家族連れにぜひおすすめしたいエリアです。同エリアに建ち並ぶさまざまなホテルでは、自然保護をテーマにした企画や催しが開催されています。自然保護の専門家がガイドとして同行し、世界でもまれにみる降雨量の多さで知られる秘境、プウ・ククイ山頂をめざすハイキングもその1つ。星空観測も人気の高い企画で、島内の各地で開催されています。天文学の専門家がガイドを務め、建物の屋上やゴルフ場でマウイの透き通った夜空を満喫します。
東マウイ周辺からハナ方面にドライブすると、島の大自然とふれあえる機会にあちらこちらで巡り会います。ケアナエ植物園では、タロイモ栽培の様子を間近に観察できます。ハナにあるカハヌ庭園では、太平洋地域に固有の植物に関する解説付きの散策ツアーが開催されています(全行程2時間、要予約)。ワイアナパナパ州立公園は、さまざまな地質が観察できるワンダーランドです。家族そろって散策を兼ねた地質探検が楽しめます。敷地内には海食洞(波の浸食作用でできた洞窟)、噴気孔(火山ガスを噴出する地中の穴や割れ目)、黒砂海岸、淡水洞穴(毎年、何度か水の色が赤く変わることで有名。変色の原因は小エビですが、ハワイの伝説では、身の毛もよだつようないわれが⋯)などがあります。なお、同公園にはコンロなどのキャンプ施設が用意されています。
ハナを通過してオヘオ峡谷(「7つの聖なる池」で有名)まで足を延ばすと、ハレアカラ国立公園の海側の突端にたどり着きます。海岸線沿いでキャンプをして、ワイモクの滝まで3キロメートル強の絶景を眺めながら歩くハイキングは最高です。ハイキングの見どころとしては、生い茂った竹林を貫く遊歩道、切り立った渓谷を渡る橋、激しさに思わず息を呑む滝、固い玄武岩をえぐるように生まれた天然のプールなどがあります。
表情豊かなマウイの景観を楽しむ方法は、徒歩や乗馬などさまざまです。島内各地で民間業者がガイド付きハイキングや馬に乗って散策するツアーを主催しています。
もちろん、家族の中には活発に動き回るのが苦手な方もいるはずです。そこで、ゆったりと座ったままの姿勢でマウイの素晴らしき大自然を満喫する方法も検討してはいかがでしょうか。その代表格がガイド付きのヘリコプター・ツアーを利用した空中散歩です。さまざまなメリットがあるため、人気が高まっています。マウイにはあまりに秘境すぎてクルマや徒歩ではたどりつけない場所が結構あります。そんなとき活躍するのがヘリコプター。渓谷もひとっ飛びのため、地元の人々でも徒歩では訪れることができないスポットに足を延ばすことができるのです。また、空中散歩ですから足跡を残すこともなく、デリケートな生態系を傷つけずに済みます。
マウイの大自然とふれあい、自然が生み出す驚異と出会う感動の旅は、多彩な方法で楽しめます。マウイ旅行を終えた子供たちは、地球の営みを深く理解できるようになります。家族で楽しんだ感動体験は忘れられない思い出となり、いつまでも家族で語り合える大切な財産となるでしょう。
###